琵琶湖派

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夷川ダム 20/09/25
夷川水力発電所の貯水池。毎年秋から初冬にかけてカモ類が飛来する。
この日はヒドリガモ♂成鳥8羽、♀成鳥1羽、キンクロハジロ♂成鳥1羽。
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ヒドリガモ♂非生殖羽→生殖羽
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マガモ♂生殖羽
家禽風の個体。
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キンクロハジロ♂成鳥
風切羽を一斉換羽中のキンクロハジロ。越夏個体だったか。

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ササゴイ①成鳥②幼鳥 20/07/23 大津市
このところ南湖西岸を観察していると否応なしに目にするのがこのササゴイである。数年前には見られなかった場所でも目にするようになり、比叡辻周辺の河口部や湾岸部分では高密度で繁殖しているようである。いずれも小河川と小規模の葦群落、ヤナギ林が続く入り組んだ湖岸線を描いておりササゴイには適した環境なのかもしれない。それに対して著しくこの近辺で数を減らしているのはアマサギである。ここ数年比叡辻周辺は宅地化が進み田畑が急速に減少した。幼少期から暮らす地元の自然が大きく変わりつつある。

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ネオワイズ彗星 Neowise Comet 20/07/31
今年の3月に発見された彗星。7月頃から見頃を迎えていたものの平年以上の長雨に阻まれ機会に恵まれなかった。ようやく梅雨明けを迎えた滋賀県内では日暮れ前より晴天に恵まれようやく目に触れることができた。しかし、南の空に月が煌々と照りつけ条件は良くない。日暮れとともに西の空に高度を下げながら出現するが、陽の光の及ぶうちはなかなか発見できず完全に暗くなってから発見できた。かみのけ座γ星と斜めに並び青くぼんやり浮かぶ姿をスコープでもそれなり姿で見て取れたため良いだろう。
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南西の空にうしかい座α星が見える。その西にかみのけ座がある。このかみのけ座γ星が目印となり陽が落ちてからは比較的容易く見つかった。次回地球接近は数千年後という天文学のスケールの大きさにはいつも驚かされる。

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セグロカモメ 19/02/14 京都市
更新ネタが無いので思いでシリーズ。
鴨川に出現したセグロカモメ。三条大橋から発見したが、機材を持っていなかったので携帯で撮影した。個人的には5年ぶりにこの川で観察した。鴨川には大学4年間、かなり通い120種近くの鳥を観察しているが、セグロカモメを見たのは2回だけ。他にウミネコも見たことがあるもののやはりユリカモメ以外のカモメ類は相当珍しいだろう。狭い川での観察なので相当大きく見えた。その後の観察報告や翌日の観察でも見つけられなかったためその日だけの通過だったと思われる。

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スズガモ×キンクロハジロ♂(推定)幼羽→第一回生殖羽 20/02/02 草津市
後頭部に中途半端に短い冠羽があり、背の波状斑はスズガモよりも薄く、キンクロハジロよりも濃い。コスズガモにより似ている個体もいるが、この個体に関してはキンクロハジロの風味が強く雑種と比較的わかりやすいのではないだろうか。脇の褐色で細長い羽は幼羽と思われる。虹彩は黄色。幼鳥は両種とも濁った黄土色だが、この時期であれば成鳥に近くなっていると考えられるか。
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ホシハジロ×キンクロハジロ♂生殖羽 17/01/03 守山市
頭部の中間的な赤みを帯びた光沢が大変綺麗だった。この個体も上のスズ×キン同様に短く中途半端な冠羽がある。この個体はより背面の波状斑が強い。脇の白色部の縁取りや胸部の黒っぽさなどはキンクロハジロ的だが、分厚く見える胸部などシルエットにホシハジロの要素を感じる。
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光彩は全体的に黄色く見えるが、ホシハジロの影響かやや橙色に近い黄色。嘴の大きさ、厚さはキンクロハジロに似ているように見えるが、ホシハジロ系の雑種でよくある中途半端に黒色部の広い嘴爪周辺のパターンはこの組み合わせ(というよりはこの個体というべきか)でも再現されている。基部に微妙に黒斑が散らばっており、ホシハジロの影響を感じさせる。
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腹部に幼羽は見られない。

キンクロハジロが関わった雑種といえばおそらくこの2パターンが国内では最も見やすいのでは無いかと思う。共通するのはやはり半端な冠羽と地の灰~黒に浮かぶ薄い波状斑ではないだろうか。全く同じパターンがあるというわけでは無いはずなのでいろいろな特徴を併せて確認する必要があるが、よほど片方に寄った形質で無ければこうした特徴は少なからず見られるはずである。特にスズガモ×キンクロハジロではコスズガモと混同されることがある。冠羽がより短く波状斑がもう少し濃い、要はこの個体よりもスズガモ寄りと言うべきだろうか?そのような個体では慎重になる必要があるだろう。とにかく落ち着いて翼のパターンを待つというのがよい方法か・・・?私ももっとたくさんの個体を見たのだが、なかなか見つけられていない。それにしてもこのホシハジロ×キンクロハジロの光沢は大変美しかった。時雨の最中に照りつける陽に浮かぶこの光沢は非常に印象深く惹きつけるものを持っていた。光が遮られると光沢は失われ黒みに非常に深い頬から口角にかけての赤みと橙に近い光彩が強調されそれもまた非常に綺麗なのである。こうしたスズガモ属♂の雑種にしか現れない金属的な趣の光沢や色合いはどの個体でも魅力の一つといえるだろう。

文一総合出版より「フィールド図鑑 日本の野鳥 第二版」が発売された。初版も購入しているのだが、図鑑収集もまたひとつの趣味であるため購入してみた。まだ読み込めていないが、全体的に図版は変わっておらず初版では無かった図版に直接図示する形で特徴が解説されている。いわゆるピーターソン図鑑やそれを踏襲した高野伸二著の「フィールドガイド日本の野鳥」と似た手法でよりわかりやすくなっているのではないだろうか。先の通り図版は入れ替わっていないため初版と同様だが、最初に紹介したスズガモ×キンクロハジロの図版はおそらく♂幼鳥の画像を参考にしたと思われ、特徴などからも同出版社の「日本の鳥550 水辺編」に登場する個体と同じと思われる。そして後述したホシハジロ×キンクロハジロに関しては参考個体は全くわからないのだが、頭部が一様に緑色光沢で嘴のパターンはホシハジロ系の雑種であるものだが、この緑色光沢がなんとも疑問。一層キンクロハジロに寄った個体で順光で観察すれば緑に光るかもしれない。ただしこの緑色はキンクロハジロ的というよりアカハジロ的に見えるのが気になるところ。雑種である以上中間的な形質や片種によった個体など多種多様だとは思うが、光沢の質がなんとなく気になった。

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カルガモ♀生殖羽 20/06/10 京都府
やや華奢で淡さが目立つ、上尾筒に斑がある点や三列風切羽、換羽した内側大雨覆に生殖斑っぽい斑紋が見られるところから♀だと考えたが・・・?

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コクラン Liparis nervosa  20/06/20 滋賀県
以前にも報告した家の近所に自生するコクラン。暗いスギ林の林床で10株近く群生している。人の踏み跡やイノシシ、シカなど心配な場所だが、花芽を出している株もあり問題が起きなければ7月上旬には開花するだろう。
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黒い蕾を付けた花茎が伸び始めている。冬期の葉の雰囲気から新芽、花茎が伸び始める過程を手軽に観察できる場所でもあるのでじっくり経過を見ていきたい。

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オニノヤガラ Gastrodia elata 20/06/07 滋賀県
湖東部の河川林に群生していた。竹林内とその周辺に十数株ほど。どうやら少し早かったのかほとんど蕾で芽吹きだしたと思われる株が多く、ヒトの慎重に匹敵するような大株は一つしかなかった。ナラタケ属に寄生し養分を得ており、光合成を行わないため葉は存在しない。
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唇弁はやや濃い黄色で側花弁、萼弁ともに薄い褐色である。萼弁は側萼片、背萼片ともに先端のみで途切れ、基部側で広くつながっているため花瓶のような丸みを帯びた壺状になっている。匂いを嗅いでみたが、特に何もしなかった。
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この付近で最も大きかった株。1m20cmから1m30cmくらいはあるだろうか。
このオニノヤガラと同じオニノヤガラ属であるヤツシロラン類を県内他所で観察している。こちらは花茎は数cmに止まり結実すると花茎を30cm程度に伸ばす性質を持っているが、これほどの身長差のある種同士が同じ属であるかと思うと面白い。

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シベリアジュリン 20/02/12 島根県
初山陰遠征。休耕田と思しき荒れた草地にいた。このシベリアジュリンも狙いの一つで到着後10分で発見。改めて日本海側の農地の素晴らしさを実感した。離れてから撮影したため厳しい画像しかないが、初めて撮影できた。シベリアジュリン自体は滋賀県内で早崎内湖や比叡辻の湖岸湿地で確認している。滋賀県内では稀な冬鳥とされており、年によっては比較的よく見つかるが、今年のような暖冬では少ないように思う。数回湖北地方に探しに行ったが、いなかった(そもそもオオジュリンをはじめとして小鳥が全然いなかった・・・)。
やはり淡く小さい印象でオオジュリンとは一線を画した雰囲気を感じた。

琵琶湖南部東岸 11:00-15:00
11:00-12:00
カワウ++
アジサシ類1
12:00-13:00
オオセグロカモメ1st-sum.2
13:00-15:00
カワウ
15:00‐16:00
クロハラアジサシ類100+

5月13日フィリピンの東で発生した台風1号の名残である温帯低気圧が5月19日、日本列島より南を通過した。また、日本海上空では発達した低気圧が滋賀県北部を掠め北上し、琵琶湖上を日本海より北風が強く吹き下ろす気候となった。さてこの春の渡りに荒れる琵琶湖というセットはどうしても滋賀県鳥屋としては捨ててはおけない状況である。台風が県西側を通過するか直撃コースを取った際の通過数には及ばないが、やはりこうした天候下でも多少の迷行種や琵琶湖上を南下する水鳥類は期待できるものである。世界中が惨禍に見舞われる時下に遠方への観察は難しい。こうした時こそやはり地元に目を向けるべきなのだろう。冬季の爆弾低気圧など特段大きな低気圧を除き普段はこの程度の天候では琵琶湖南部での定点観察は行わないが、この日は休みでもあったためいつもの場所で待ってみた。
そこそこの強風が吹くとはいえ屋外に出て危険はないレベルである。数自体は多くなくほとんどの時間でカワウを眺めることが多かったが、より風が強くなった15時台にクロハラアジサシ類の100羽を超える大きな群れが南下した。クロハラアジサシ類のこうした大きな群れは5月、9月の移動期にたびたび琵琶湖上で観察できる。
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琵琶湖南部西岸より

「琵琶湖と海鳥」について。
県周囲を福井県、岐阜県、三重県、京都府に隣接し外海とは接さない内陸県である滋賀県には広大な淡水湖である琵琶湖を擁する。北部は特に広大な水域で水面は彼方に広がり、わずかに丸みを帯びた水平線上に対岸の街並みが微かな霧の中に浮かぶ。対して南部は堅田と守山を境に急な輪郭を描きながら極端に狭くなる。南部はまさしく湖のように対岸に街並みがはっきりと浮かび水面を囲う陸地をはっきりと認識できる。南北に細長く伸びる琵琶湖は北は若狭湾、南は大阪湾、山を隔て伊勢湾に近い。この特異的に大きなである琵琶湖ではある条件下において外海に主な生息域を持つ海鳥類を観察できることがある。
http://rikabi.jp/essay/essay-120.htm 
日本理科美術協会のエッセイにて渡辺氏はその条件として台風、渡り、越冬というワードを示している。このワードに照らし合わせてみれば、このクロハラアジサシ類(正確には海鳥はではないと思うが)の通過は渡りに相当すると思われる。
クロハラアジサシ類はともかく通例内陸部で観察される機会の少ないミズナギドリ類やトウゾクカモメ類が観察されることがある。次回は琵琶湖で観察される概要の鳥についてアップするつもりでいる。
また、伴って悪天候という条件下により撮影は一層困難を極めるこれら迷行種の写真のない参考記録も含めて少し自分なりにぼんやりと検討したいと思う。

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アカハジロ♂ 20/02/11
上の画像は400mmレンズ装着の一眼レフカメラで撮影、下の画像は50倍のフィールドスコープにiphoneを押し当てて撮影した"スマスコ"画像。
例年飛来の関西の個体では無く、新飛来の個体である。
比較的奥行きのある林に囲まれた池で死角が多くそもそも発見するのにかなり時間がかかった。しかしながら最終的に池の最深部の茂みから比較的近距離かつ順光から観察できた。
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頭部は光沢のある深緑で嘴は基部で厚くやや長い印象を受ける。近縁種のメジロガモやホシハジロとは明らかにシルエットが異なっている。
脇の白色部はやや浅い。この白色部の深さや形状にも個体差があるようだが、この個体に関しては住之江区の個体のような(リンク先画像は非生殖羽期のものだが)斜に分割するような形ではなく、側胸部で盛り上がるような形だった。白色部は背に到達しない個体もいるが、この個体は到達している。アカハジロ×メジロガモで白色部が浅い場合もあるもののこの記事の個体に関してはメジロガモを思わせるような特徴は無かった。同じくホシハジロやメジロガモと関わったと思われる雑種で見られるような頭頂部の赤みや赤っぽい光沢も見られなかった。
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嘴のアップ画像。
観察していて最も目についたのは嘴爪の印象だった。堺市の個体も似た印象だが、こちらの記事の個体の方が黒色部は広く見えた。このアカハジロの顔の印象、言わば"アカハジロ顔"とも言うべきだろうか。それを構成する上でこの嘴爪の黒というのは大きなピースを占めているのかもしれない。私は直接見ていない個体、後楽園のアカハジロ×ホシハジロ♂と大阪城北濠の同雑種の嘴爪の印象とよく似ている。しかし、この個体は羽衣にはホシハジロとの明らかな雑種の痕跡は無い。個体差によるものかはたまた稀ならず観察されているこれらの雑種の戻し交雑を繰り返された子孫なのか、あくまで推測の範囲で考えてみることは可能かもしれないが、やはりそれ以上のことを観察者の立場からは難しいのではないかと感じる。

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上から18/01/21(尼崎市)、18/12/28(松原市)19/12/12(吹田市)、20/02/05(草津市)、20/03/06(京都市)
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メジロガモ♂第一回生殖羽 18/12/31 岸和田市同♂生殖羽 19/02/10 横浜市
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ホシハジロ♂生殖羽 18/02/26 大津市、同♂第一回生殖羽 20/02/12 京都市
交雑種であるメジロガモ×ホシハジロ♂、メジロガモ♂、ホシハジロ♂の虹彩色差を比較。メジロガモ♂は白色である。対してホシハジロ♂は内側で黄色、外側で赤い。至近で見ればこのコントラストはそれなりに見て取れるが、遠目に見れば概ね赤く見える。ホシハジロは多くの個体で検証できているわけではないのだが、年齢による赤みの差があるかもしれない。
交雑種メジロガモ×ホシハジロは雑種であるため両種の遺伝的な影響を受ける。そのため、赤から薄い赤まで多様である。メジロガモ×ホシハジロ(あるいはアカハジロ×ホシハジロ)の虹彩色において黄色っぽく見えることがある。これらはホシハジロで黄色い部分がメジロガモの影響を受け、白く抜け尚且つ赤みが軽減されることで形成されているようである。時折この組み合わせの雑種と同様に背がやや暗色で虹彩が橙色なアメリカホシハジロと混同されている例を見かけるが、アメリカホシハジロの一様な橙色と比べてもこの雑種は一様ではなくやはりホシハジロと同様のパターンのコントラストがあるかもやもやとした不明瞭な赤みを帯びている可能性が高い。アメリカホシハジロはネット上での画像しか見たことがないため手持ち画像は無い。jizzは明確に異なっていると思われるが、角度により混同を生むケースでは虹彩を見ることも一つの手段かもしれない。あくまで数個体での比較であることと雑種であるためどこまでの形質差があるかもわからないので参考程度であるとは思うが。
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白から赤まで濃い順(主観で)並べてみた。かなりの差はあるものの概ねホシハジロの色パターンを持ちながら内側が白っぽく周囲が薄赤というのが多いようである。左下のホシハジロにかなり寄った外観だった吹田市個体では虹彩は赤みが強い。多少の薄さを持っているものの内側は黄色くホシハジロのパターンに近い。
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虹彩アップの画像と個体の対応画像。

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フモトスミレ 20/04/27 大津市
昨年秋、花後に見つけた群生地に再訪。予想以上に大きな群落になっていた。
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距は薄紫で短い。葉は丸みが強く鋸歯がある。
葉の位置が低く地面にへばりついているような印象を受けた。
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側花弁は有毛。
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赤い花茎が非常に綺麗だった。

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Gastrodia sp. 19/11/25 滋賀県
県内の竹林内で発見した。とにかく鬱蒼とした湿り気のある林内で竹の葉が腐食した地面から伸びていた。付近には数十株あり、全て種子散布後の果実をつけていた。花は非常に小さく数㎝程の高さしかないため、恐らく花期に見つけるのは非常に難しいと思われる。ハルザキヤツシロラン、アキザキヤツシロラン、クロヤツシロランの可能性があるが、果実で識別できるのかはわからない。倒れている株もあったが、比較的新しい果実もあり春に咲くハルザキヤツシロランではなく、秋に咲くアキザキヤツシロランかクロヤツシロランではないかと思う。

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ナガバノスミレサイシン 20/04/16 大津市
自宅裏山で発見。付近にはシハイスミレの群落。一株だけスギ林の端に咲いていた。花弁がかなり白っぽく非常に綺麗な株だった。品種(シロバナナガバノスミレサイシン)に相当するものなのか、濃淡の差異なのか詳しくないのでわからなかった。
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スミレサイシン類らしく距はふと短く、地上茎は存在せず花柄と葉柄が別れた状態で地上に出ている。
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葉は名の通り細長い。滋賀県はスミレサイシンとナガバノスミレサイシンの微妙な分布域に位置しているようであるが、この株は葉も真っ直ぐ細長く、幅広く心形であるスミレサイシンとは異なっているように思う。
山と渓谷社「日本のスミレ」(いがりまさし)では日本海側の豪雪地帯に生育するスミレサイシン類はスミレサイシンである。対して雪の少ない太平洋側に生育するのはナガバノスミレサイシンとされている。文一総合出版「スミレハンドブック」(山田隆彦)では滋賀県はスミレサイシンがより分布の多いことを示す赤色で分布図が塗られており、ナガバノスミレサイシンは数は多くないことを示す薄赤で塗られている。前述の「日本のスミレ」を参考にすれば滋賀県は分布の境界に差し掛かると思われ、大津市中部のこの辺りの山中は冬季それほど積雪もせず境界線により近いところかもしれない。確かにこの周辺はどちらかといえば太平洋側の気候に近く、北部の高島市などは日本海側の気候に近い。この気候の差にそって県内の分布がわかれていれば興味深い。北部の高島市ではスミレサイシンが生育している。

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ハチジョウツグミ第一回冬羽 18/02/18 京都市
一昨年京都御苑で越冬したハチジョウツグミ。2018年も滋賀県内でも複数観察しており、二条城など近辺での越冬数も多かったようである。
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同一個体
昨日投稿した今季の個体に比べて大雨覆のモルトコントラストは見辛いが、外側5枚は内側よりもやや短く色あせて見えることからも幼羽と思われる。
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同一個体
一枚目右は亜種ツグミ。尾羽はかなり摩耗しており、細く先が尖っている。肩羽や胸の赤みはやや弱く鮮やかさに若干欠ける。かなり赤みの強い個体からそうでない個体まで幅広くこれらは性差なのか個体差なのか。スベンソンのガイドでは中間タイプが多く性の識別は難しいと記載されている。

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ハチジョウツグミD個体
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ハチジョウツグミ4個体 京都市 (上からA、B、C、D個体)
京都市内北部も公園内で越冬したハチジョウツグミ4個体。当地を初めとして京都市街地の公園内ではほぼ毎シーズン観察される。今季は同一地で4個体越冬した。当地では昨年も1羽確認されているが、冬の間越冬したのかは不明である。
スベンソンの「識別ガイド」によればハチジョウツグミの幼羽後の換羽は部分的に行われ、冬季の年齢識別ができる。尾羽はやや細く、成鳥よりも尖っている傾向にある。また、摩耗が見られ外側大雨覆の一部は未換羽で換羽後の羽毛よりも先端が白色かつ短めの幼羽が残る。
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A個体 第一回冬羽 1枚目は20/02/27、2枚目以降は03/11
大雨覆外側5枚は羽縁が淡色で摩耗が強いため幼羽である。三列風切羽や尾羽も摩耗が進み先が細くとがっている。
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同A個体
眉斑はやや明瞭で薄い橙色。胸から上腹部、腰、下尾筒も鮮やかな橙色懸っている。
足は黄土色~灰色っぽい印象を受けた。嘴の黄色部分は上嘴に侵入している。
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B個体 第一回冬羽 1枚目19/12/25、2枚目3枚目は20/03/06
比較的見辛く警戒心が強かったB個体。この個体は秋から確認されており、当地で最も最初に見られた個体でもある。A個体同様外側大雨覆5枚は幼羽と思われる。冬に入りほぼ観察できなかったため比較が難しいが、秋に比べやはり尾羽などはより強く摩耗している。
A個体よりも下尾筒や腰などの橙色はやや弱い。顎線はやや強い印象であるのに対し眉斑は薄目である。胸の橙色は比較的鮮やかであるが、一見した印象はやや地味な個体に見える。この辺りの印象は顎線とのコントラストや眉斑の弱さにより形成されているだろうか。
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C個体 第一回冬羽 20/02/27
最も観察しやすく個体識別が簡単だった個体。大雨覆外側7枚は幼羽である。同齢個体においては最も大雨覆に幼羽を残している。
肩羽や胸部、眉斑、腰、下尾筒など鮮やかな橙色でかなり目立つ。非常に綺麗な個体だった。嘴の黄色部は上嘴には及ばず下嘴にとどまる。
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同C個体
胸の鮮やかな橙色が非常に綺麗である。顎線は不明瞭な2線が喉のコントラストを形成している。
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ハチジョウツグミC個体
D個体 成鳥 19/12/25、20/02/27
4個体のうち唯一の成鳥。この個体もB個体と同じく秋から観察されている。観察難度が最も高く警戒心も非常に強い。
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同D個体
先の3個体とは異なり大雨覆にモルトコントラストは見られず成鳥である。鮮やかな橙色と摩耗の少ない羽衣が特徴的で、三列のコントラストも鮮やかである。嘴の黄色部も幅広く上嘴にまで到達する。
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大雨覆比較
換羽が進まなければD個体、幼羽の残存の多いC個体は大雨覆のモルトコントラストによって同時期であれば識別できると言えるだろう。
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顔比較
嘴のパターンや眉斑のコントラスト、顎線の出具合は個体により異なっている。
背中
上面比較
同じ姿勢のものを選び出せず、やや角度が異なっているが、D個体の成鳥と比べて第一回冬羽個体は風切羽や尾羽の摩耗が強く特に尾羽は細身で尖っている傾向にある。こうしてみると腰の色合いや肩羽のコントラストなども個体により差があることがわかりやすい。
ハチジョウツグミに関してはこれらの4個体以外にも滋賀京都で何個体か観察している為、また後日アップしていきたいと思う。

3月中ごろまでは少なくとも越冬していたようである。今冬の京都市街はヒレンジャクも多く小鳥類が楽しめた年度だったのではないだろうか。

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ニオイタチツボスミレ 20/04/07 大津市
丸い花弁や有毛な花柄からもニオイタチツボスミレで良いと思う。日当たりが良く乾いた斜面に群生していた。

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ヒゴスミレ 20/04/07 大津市
比叡山の麓に群生していたが、民家の軒先から道路にまで伸びていたため植栽されたものが広がったのではないかと思う。時折、比叡山周辺で撮影されたヒゴスミレがエイザンスミレとして紹介されているが、葉の切れ込みや花の形がやや違っている。

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エゾビタキ第一回冬羽 18/12/18(1,2枚目),19/02/20(3~5枚目) 京都市
18年度冬季に渡って京都市街地で越冬したエゾビタキ第一回冬羽。この種の越冬個体は初めて観察した。国内では越冬地、繁殖地への移動の際に観察できる旅鳥でもある。
18年12月上旬より観察されているようで、翌年19年4月上旬までほぼ同じ位置で観察された。
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18/12/18
越冬の情報を入手したから初めて観察した日である。羽衣は比較的フレッシュな印象で摩耗は少ない。三列風切羽の淡色の縁取りや大雨覆の白色部も幅広い。尾羽は丸みを帯びているようであるが、羽先はやや尖り気味である。見えにくい写真であるものの腰に淡色斑をもった幼羽と思われる羽毛があり当年生まれの個体であると推測できる。
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19/02/20
1枚目、赤矢印の部分は18年12月18日にも確認できた腰の白斑である。2か月を経てかなり摩耗し白斑を存在を潜め始めた。大雨覆や三列も摩耗が進み羽縁は狭くなっている。特に大雨覆の摩耗は著しい。他種でも同様であるが、越冬期間を通して観察すると羽毛が摩耗していく様子がよくわかる。
概ね100m圏内の同じ場所で常に観察していた。行動はそこそこ活発でしきりに虫を空中で捕食する姿が観察できた。時折シに近い音でチッチッという細い地なきを出しており、越冬期間中常に声を聞くことができた。

この動画の日付の通り2月26日から囀り始めた。かなり聞こえにくいが、複雑なぐぜりが入っている。手ぶれ補正の無いレンズで撮影している為、手振れはかなりひどい。

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